
ヨーロッパメーカーの作るバイクの代表的なジャンルの一つに「スクランブラー」がある
大型ネオレトロ(ヘリテージ)をベースにブロックタイヤやサスペンション、マフラー位置などをオフロード向けにしたモデル
ネオレトロらしさとダートも行ける万能性が売り。でも日本メーカーは全く作らないジャンル。何故なのかを考察していく記事
目次
そもそもこれからのジャンル
スクランブラーは確かに日本ではラインナップがない状態だけど、そもそもネオクラシックの派生モデルという新しいジャンル
まだまだこれからのジャンルなので、考察通りになるとは思えないというのが前提
ダート向けでは満足出来ない

スクランブラーに照らし合わせて、日本の地理と道路の特徴を上げるとこうなる
- 道が舗装されてる
- 山が多い。かつ急
- オンロード系が特に人気
日本の土地は新期造山帯という特徴がある
プレートの収束型境界に位置し、地震・火山活動が活発であるところが多い。山脈は新しい時代に形成されたため浸食を受け続けた期間が短く、急峻な山地や弧状列島をなし、日本列島やアルプス山脈などが主な例として挙げられる。
Wikipediaより
まとめると…
ほとんどの道が舗装されてて、山は多いが、急斜面がほとんど。そしてフルカウルやストリートファイターなどのオンロード特化が人気
スクランブラーのオンロードたまにダートも行ける使い方は日本には適していない
オフロードの代わりになるには日本の山は急すぎるし、大型ベースのスクランブラーは重すぎる。平地はほとんど舗装されてるのでダート用途として使う機会も少ない
実はヤマハがスクランブラーを作ってる(作ってた)

日本のメーカーでも、実はヤマハはスクランブラーを作ってたりする。そして日本に発売もしていた
SCR950
2017年から2019年まで生産
アメリカンバイクのBOLTの派生モデル。スクランブラーモデルとして日本でも発売していたが、大して話題にもならずに生産終了…
この失敗が尾を引いてる可能性もある

そして、日本では未発売だけど、もう一つスクランブラーモデルがある
XSR700トリビュート
MT-07の派生モデル、XSR700のスクランブラーモデル
XSR700より更にフラットシート、強化されたフロントサスペンション。思いっきり上に上げられたマフラー、そしてオフも行けるブロックタイヤ
残念ながら日本で発売される気配なし。SCR950が対して話題にならずに生産終了してしまった時点で可能性はかなり低くなった…
小排気量スクランブラーはあった

きっかけはドラマから
2000年前半のストリート系ブームはドラマから始まった
キムタクがドラマの中でTW225に乗ったのがきっかけ、それで一気にストリートブームに。TW225は元々ぱっといかず生産終了予定だったのだが、キムタクきっかけで大ヒット
そして、各社対抗モデルを出して、ストリート系と呼ばれるモデルが大量に生まれた
FTR、グラストラッカー、250TR…
あくまで一時的なブーム
市街地走行と飾る用途の「ファッション性」がウケた要因
しかし、全期間で見るとモデルチェンジなどもなく、2010年前半にはすべて消えてしまった
ネオクラシックとして復活させればスクランブラーとして人気が出るかもしれない…
一方、バイクの流行り廃りと全く関係のない「ドラマ発のブーム」で売れたジャンル
復活させても、当時のブームに乗っかかってた人達に刺さるかは不明…
YOUTUBE上でもストリート系で林道に行く動画などがあるので、ポテンシャルは高いとは思うが、それならやはりオフロードバイクで充分とも言える
一応中型スクランブラーは存在する

ハスクバーナ
海外メーカーにはなるけど…ハスクバーナが250CCと400CCクラスにスクランブラーを出している
250、400CC単気筒エンジン積んだ中型スクランブラーモデル「ヴィトピレン」
ネオクラシック系のデザインに高いハンドル、ブロックタイヤを履いたモデル。乾燥重量150キロ代と軽量なモデル。シート高は超高いので試乗必須
アドベンチャーが強い

オンロードたまにオフロード(ダート)という使い方なら、ライバルがアドベンチャーになる。そして現在強すぎるジャンル
日本の中では用途が被りすぎて、スクランブラーが存在感を発揮できるビジョンが見えない…
あるとしたら、ネオレトロブームの先にスクランブラーモデルが望まれるようになるとか
メジャーになるのは難しいジャンル

正直、用途がアドベンチャーと被りすぎてるので厳しいかな…という印象。デザイン的には全然違う訳だけど、別にアドベンチャーがダサい訳でもない
あえてスクランブラーじゃなくていいって印象
もう少しネオレトロブームが成熟すれば、スクランブラーという派生モデルをユーザーが望むかもしれない
特に中型ネオクラシックがほとんどない状態なので、中型市場が大きくなればスクランブラーの入る余地が出てくるはず
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