カワサキまた隙間を埋める「KLE400」次はオフロードアドベンチャー

カワサキが、ついに前21インチのオフロードアドベンチャーに踏み込みました。

記事書いてる段階ではスペック未発表


これまでのカワサキといえば、オンロード特化の「前後17インチ」マシンを中心に展開。
ネイキッド、スポーツ、ツアラー、いずれも舗装路が主戦場。

そんなメーカーが、ここにきてオフロードアドベンチャー「KLE」を復活させる。
排気量は400cc。
万能型のリッターでもなく、特化型のミドルでもない。
ちょうどその隙間を狙う、まさにカワサキらしい一手です。

かつて存在したKLE500は、いまでは語れる人も少ないバイク。
ZZR系の高回転ツインを積んだデュアルパーパス、
今でいう「アドベンチャー」の原点のような存在でした。

そんなマシンが、令和の時代にどう蘇るのか。
どこまでカワサキ流のオフロードを貫くのか。
今回は、その流れと意味をじっくり見ていきましょう。

特徴①:隙間を埋める、400cc水冷二気筒エンジンの万能性

KLEに積まれるのは「400cc水冷並列二気筒エンジン」。

このエンジン、もはや説明不要の傑作です。
ニンジャ400、Z400、エリミネーター400と、すでにさまざまなジャンルで高評価を得ているカワサキの主力エンジン。


250cc版と設計を共通化しつつ、排気量を拡大して高回転・高出力化


軽量かつハイパワーという「理想的な中型エンジン像」を実現しています。

最高出力はおそらく48馬力前後。
数字だけ見ればミドルスポーツ並みですが、このクラスでは抜群のトルク感を誇り、高速道路でも余裕を感じる仕上がり。

海外仕様ではボアアップして451cc化、モデル名も「KLE500」として登場しています。

同じ排気量帯でアドベンチャーと呼べる存在は、実はホンダの「NX400」くらいしかありません。
NXはオン・オフ両立型で車重196kg。


一方で、カワサキのエリミネーター400が176kgしかないことを考えると、
KLEは170kg台に抑えてくる可能性もある。

まさに軽量アドベンチャーの新基準です。

この軽さが意味するのは、林道やダートでの「取り回しのしやすさ」。
そして48馬力という十分すぎる動力性能によって、高速巡航も難なくこなす。
つまり日常から冒険まで一台で完結できるバイクになるわけです。

ライバルを挙げるなら、ホンダのCRF250ラリー、もしくはヤマハのテネレ700。


どちらも完成度の高い名車ですが、
「250だと非力、700だと重い」というライダーの間を突いてくるのが、まさに今のカワサキ。
カワサキはいつだって、誰も狙わない隙間を突いてくる。
今回のKLEも、まさにそんなスキマ狙いの怪物になる予感がします。

特徴②:オフアドベンチャーらしいガチ軽量仕様

スペックの詳細はまだベールに包まれていますが、
カワサキがKLEに込めた思想は明確です

軽くて、細くて、走れる。

まず注目すべきは、カワサキ伝統のトレリスフレーム
軽量かつ高剛性を両立し、ZXシリーズやZシリーズで高い評価を得た構造です。


アドベンチャーとして車高が上がったぶん補強は施されていますが、それでも構造は非常にスリム。
オフロードでも安定した操作性を実現しつつ、舗装路ではスポーティに走れる、
まさにデュアルパーパスの理想形です。

そしてハンドル。
幅広でワイドなバーが採用され、上体を起こした自然なポジションで長距離ツーリングにも快適。
操作性はモトクロッサー「KXシリーズ」のノウハウを応用


立ち乗り時のバランス感、低速域でのコントロール性など、まさに林道を走れるアドベンチャーを意識した作り込みです。

足まわりも本気です。
前輪21インチ、後輪17インチの王道オフロード仕様。


これにより悪路での安定感と障害物の乗り越え性能を両立。
CRF250ラリー以外ではほぼ存在しない、中型クラス唯一の組み合わせになります。

そして注目はサスペンション。
前後ともに200mm以上のロングストロークを確保。


採用されるのは、KYB製の最新オフロードサスペンション
これは「SFF-BP(セパレートファンクションフォーク・ビッグピストン)」構造のKYB版で、
左右のフォークに異なる役割を持たせるという、まさにレース直系の仕組み。


ショーワ製がスポーツバイクの象徴なら、KYBはオフロードの象徴、、
そう言いたくなるほど、思想が共鳴しています。

ブレーキも抜かりなし。
ディスク径はオフロードらしく控えめですが、キャリパーはおそらくニンジャと共通。
つまり4ポットの強力制動タイプ。


オンでも止まるアドベンチャーとして、舗装路性能を犠牲にしないのがカワサキらしい。
さらにABSキャンセル機能まで搭載される見込みで、
本格的な林道派ライダーも納得の仕様になるでしょう。

総じてKLEは、スペックで語るより「思想で感じる」バイク。
オフもオンも楽しみたいというライダーの願いを、
400ccという軽さと扱いやすさで叶える、まさにちょうどいいアドベンチャーです。

特徴③:長距離を快適にする装備たち

スペック的には「CRF以上、テネレ700未満」。
でも、日本の環境では400ccで十分というライダーも多いはず。


KLEはまさにその現実的なラインを突いてきました。
そして装備面を見ると、しっかりツーリングで戦えるアドベンチャーに仕上がっています。

まず目に入るのが、小ぶりながら存在感のあるフロントカウル。
現行Zシリーズのデザイン言語をそのまま流用したシャープな顔つきです。
カワサキはシリーズ間でパーツやデザインを共有するのが得意。
そのおかげで、KLEも新型Zやニンジャと並べても違和感のない統一感があります。

スクリーンは3段階調整式(おそらく手動)
サイズはコンパクトですが、高めの位置にセットされており、胸から上をしっかり風から守ってくれる仕様。
まさにオフアドベンチャーらしい高さを意識した設計です。

メーターまわりは、ニンジャシリーズから流用した液晶コクピット。
視認性の高いデジタルメーターに、スマートフォン連携機能も備えています。
ただしナビ機能は非対応
このあたり、カワサキはあまりコネクテッド系には積極的でない印象です。

旅バイクとして嬉しいのが、ハンドルガードとサイドパニア対応。
マフラー位置も低めに設定され、フル積載時でも干渉の心配がありません。


また、シートはなんと4種類。
欧州仕様を基準にしているため、標準シートはかなり高めですが、
国内向けにはローダウン仕様やローシートが期待できます
実際、テネレ700やNX400も同様の対策を取っているため、KLEも同じ流れでしょう。

燃料タンクは16リットル
スポーツバイクの14Lからやや増量されています。


一見控えめに感じますが、400ccクラスの燃費性能を考えるとこれで十分。
おそらく航続距離は400kmを超えるレベル。
「給油の少ない旅」を現実的に叶えてくれる仕様です。

KLEは、数字では測れないちょうどいい快適性を狙ってきています。
速すぎず、重すぎず、でも装備はしっかり。
まさに日本で使うことを前提に磨かれた、実用志向のアドベンチャーです。

特徴④:SEモデル登場、400アドベンチャーのワンランク上

そして今回、KLEには上位仕様の「SEモデル」も用意されています。
内容をざっくり言うと、走りも見た目も完成された一台。
具体的な違いは以下の通りです。

まず外観。SEは専用カラーを採用し、よりプレミアムな雰囲気。
ウインカーはLED化され、通常版のハロゲンに比べて最新な印象に。
さらに、エンジン下には大型スキッドプレートが装備されます。
これにより、荒れた林道や石の多い路面でもしっかりエンジンを守ってくれる仕様。
また、ハンドルガードも標準装備となり、ツーリングでも安心感が増しています。

そしてメーターまわりにも差があります。
通常モデルが新設計の液晶パネルを採用しているのに対し、SEは現行Zシリーズやニンジャでおなじみのフルカラー液晶メーターを採用。
視認性もよく、機能的にも進化した現代的アドベンチャーらしい仕上がりになっています。

どうせなら高性能な250よりカワサキ400のアドベンチャー版

性能面では、やはり「CRF250ラリーの上位互換」と言いたくなる完成度。
軽快で扱いやすいのに、高速巡航も余裕。
それでいて車体バランスが絶妙。
一言でいえば、「万能に走れる400アドベンチャーの最適解」です。

ただし、オフロードの世界はシビア


軽さと細さこそ正義という考え方も根強いので、
必ずしも「KLEの方が上」とは言い切れません。
とはいえ、オンもオフも旅も楽しみたい人にとって、
KLEのバランスは唯一無二。

ポジション的には、Vストローム250の48馬力版という表現がしっくりきます。
中速トルクがしっかりしていて、高速道路の巡航も余裕。
まさに遠くへ行ける軽量アドベンチャー。

デメリット⇒シンプルオフロード

一方で、電子制御は非搭載
これが唯一のデメリットと言えるかもしれません。


ライバルのNX400がトラクションコントロールやナビ機能を備えるのに対し、
KLEはあくまで「シンプルさ」と「軽さ」を優先しています。
とはいえ、それこそがオフロードらしい哲学。

カワサキが狙うのは、
テネレ700のような本格派ラリーでもなく、
CRFラリーのような軽快なオフ専でもない、
「遠くまで行ける、現実的な冒険バイク」

テネレは性能が高すぎて扱いきれない、
CRFは軽いけど高速が不安。
そのちょうど真ん中を埋めるのがKLE。

次の週末、林道も高速も、全部走れる。
そんな自由な旅の形を、400ccというサイズで実現してくれそうです。