
ついに、ヤマハから完全新型のスーパースポーツ(SS)「YZF-R9」が日本国内で正式発表されました! MT-09譲りの官能的な3気筒トルク型エンジンを、専用設計のアルミフレームに搭載。1000ccクラスの過剰なパワーでもなく、600ccクラスのピーキーさでもない。「これこそが公道とサーキットを繋ぐ最適解」と言える一台の全貌を解説します。
1. 驚愕のコストパフォーマンスと供給状況
まず、最も注目すべきはその価格と初動です。
- 予想を裏切る低価格: 近年のSSが200万〜400万円という高嶺の花になる中、約150万円という戦略的な価格設定。600ccクラス(R6等)よりも安く抑えられています。
- 争奪戦は必至: 国内の初期出荷台数が300台程度と非常に少なく、既に予約段階で完売に近い状態の店舗も。手に入れられた方はラッキー、逃した方は次回の2027年モデルを待つことになりそうです。
2. R9が提示する「トルク型SS」という新基準

これまでのSSは「高回転・高出力」が正義でしたが、R9は違います。
- 3気筒CP3エンジンの底力: 120馬力のパワーに加え、特筆すべきは低中速からのパンチ力。0-100km/hの加速や、コーナー立ち上がりの二次加速において、4気筒勢を圧倒する扱いやすさを誇ります。
- 専用設計の「最軽量」フレーム: MT-09の流用ではなく、剛性を18%高めた専用アルミフレームを採用。R1やR6よりも軽量に仕上げられており、3気筒のコンパクトさを最大限に活かした俊敏なハンドリングを実現しています。
3. 「ガチ勢」も納得の最新装備 & ツーリング適性
サーキット性能を追求しつつ、驚くほど「旅」の装備も充実しています。
① 空力を支配する大型ウイングレット
MotoGP譲りのウイングレットは、単なる飾りではありません。直進安定性を6〜7%向上させ、さらに旋回中の接地感を10%高める効果があります。また、横風の影響を逃がす構造により、高速道路での安定性にも寄与します。
② Garmin連携のフルマップナビ & クルコン
5インチTFT液晶は、Garmin製のナビ機能に対応。スマホアプリで目的地を設定すれば、画面上にマップを表示可能です。さらにクルーズコントロールやクイックシフターも標準装備されており、長距離移動の快適性はSS界トップクラス。
③ 妥協のない足回り
ブレーキには最上級のブレンボ製スタイルマを採用。サスペンションも最新のKYB製で、左右独立した減衰調整が可能な本格仕様です。
4. 気になる「乗車姿勢」と足付き
「SSは姿勢がキツい」というイメージに対し、ヤマハは細かく調整を重ねています。
- R7とR6の中間的なポジション: 過度な前傾を避けつつ、フロント荷重をしっかりかけられる絶妙な位置にハンドルを配置。
- 足付きの工夫: ヒップポイントを低くしつつ、膝の動きを邪魔しないフットポジションを追求。幅広い体格のライダーに馴染むよう設計されています。
5. 結論:公道で扱えるスーパースポーツの帰還
YZF-R9は、「サーキットでタイムを削れる実力」と「ツーリングを快適にこなせる利便性」を、この価格で両立させた奇跡の一台です。
「リッターSSは速すぎて怖いけど、本格的なスペックにはこだわりたい」 そんなライダーの夢を形にしたR9。もし店頭で見かけることがあれば、それは運命かもしれません。

