スペックを追うな、震えを追え。JAPAN BIKE OF THE YEAR 2026 徹底解剖

毎年恒例、ライダーたちの物欲を限界まで煽る『JAPAN BIKE OF THE YEAR 2026』が発売された。

ページをめくれば、2025年のミラノ(EICMA)やモビリティショーで度肝を抜いた最新マシンから、もはや「伝統芸能」の域に達した国産名車までがびっしりと並んでいる。2026年、私たちが選ぶべきは「賢い移動手段」ではない。「理性を踏み倒せる相棒」だ。

ホンダの「E-Clutch」は、我々をどこまで自由にするか

ホンダが提示したのは、クラッチ操作からの解放という名の「ライディングの再定義」だ。

  • XL750 TRANSALP / CB750 HORNET
  • CBR500R / NX500

これらのミドルクラスに続々と投入されたE-Clutch。「クラッチを握ってこそバイクだ」という精神論は横に置いておこう。渋滞の苦行をテクノロジーに押し付け、美味しいコーナーの入り口だけに集中できる贅沢。ホンダは「不自由を楽しむ」バイクという乗り物から、徹底的に「ノイズ」を取り除こうとしている。

カワサキの「Z900RS」帝国:もはや執念の域

カワサキのラインナップを見る限り、彼らは「正解」を確信しているらしい。

  • Z900RS SE / Black Ball Edition / CAFE

相変わらずのZ900RS旋風だが、今回の『Black Ball Edition』の佇まいには、もはや凄みすら感じる。懐古主義と言えばそれまでだが、これほどまでに「男の憧憬」を正確に射抜くメーカーが他にあるだろうか。 一方で、NINJA H2 SX SEのような過剰なまでの超高速ツアラーを並行して磨き上げる。この極端な二面性こそ、カワサキというメーカーの矜持だ。

ヤマハの70周年と、YZF-R9という「本命」

ヤマハファンの注目は、間違いなくYZF-R9だろう。 長らく待たされた「3気筒スーパースポーツ」の本命。R1がサーキット専用へとシフトしていく中で、公道で振り回せる最高峰の官能性能をどこまで突き詰めているか。 さらに70周年記念のインターカラーなんて出されたら、財布の紐を締め直すのは不可能に近い。

スズキの変態的快挙:DR-Zの復活と「遊び心」

2026年のトピックで、スズキのDR-Z4S/SMの復活を外すわけにはいかない。 誰もが「排ガス規制で絶滅する」と諦めていた400ccシングルオフロードの復活。これこそがスズキの真骨頂だ。 さらに、あのVANVANを電動化したe-VANVANや、もはや乗り物なのかすら怪しいMOQBA 2。 「他が右を向くなら、うちは斜め下から突き上げる」というスズキ流のユーモアが、このカタログには溢れている。

結論:2026年、あなたはどの「毒」を食らう?

この1冊に収録された国産・外車全アルバムを眺めて思うのは、バイク選びはもはや「スペック比較」ではないということだ。

  • 125周年を迎えたROYAL ENFIELDの歴史に浸るのか。
  • DUCATIのパニガーレV2で、MM93(マルケス)の夢を見るのか。
  • あるいは、ITALJETのDRAGSTERという名の「走る彫刻」をガレージに置くのか。

結局のところ、バイクなんてものは「生活に必要ないもの」だ。 だからこそ、損得勘定抜きで、一番心がザワついた1台を選ぶ。 2026年、その「直感」を裏切らないだけの選択肢は、このカタログの中にすべて揃っている。

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