
ホンダの伝説的マシン、CB-Fシリーズ。その遺伝子を受け継ぐ「CB1000F」に対し、ACTIVE(アクティブ)から新たなカスタムの提案が登場しました。
その名も「CB1000F 26″F”」プロジェクト。
今回のパーツ群のラインナップを見ていくと、単なる性能アップグレードにとどまらない、「Z900RS一強」とも言える現在のネオクラシックカスタム市場に対する、ある種の「答え」が見えてきます。
コンセプトは「武骨な2D切削」と「80’sシルエット」

今回発表されたパーツ群の最大の特徴は、あえて最新の3D加工技術を全面に出さず、「2D切削」を基調にしている点です。
現代のレーシングパーツは、極限まで肉抜きされた3D曲面が主流ですが、往年のCB-Fはもっと直線を基調としたデザインでした。
そこで開発陣は、CB1000Fの直線的なラインに似合うよう、エッジの効いた平面的な造形を採用。「F」が持つ特別感を、現代の削り出し技術で「当時の雰囲気のまま」再現しようとしています。
「打倒Z900RS」の新たなアプローチ?
なぜ今、あえてこのスタイルなのでしょうか?ここに、現在のバイクシーンを席巻するKawasaki Z900RSの影響を読み取ることができます。
Z900RSが爆発的にヒットしている最大の理由は、「最新の性能を持ちながら、往年のZ1のスタイルを楽しめる」点にあります。ユーザーは、「安心して乗れる旧車スタイル」を渇望しているのです。
今回のACTIVEの提案は、この需要をホンダの名車「CB-F」で再現しようとしているように見えます。 CB1000Fという、素性の良いリッターマシンをベースに、足回りとポジションを現代的にアップデート。しかし、見た目はハイテクにしすぎず、80年代のキャストホイールの雰囲気を残した「TYPE-J」ホイールなどを組み合わせる。
つまり、「Z900RSのようなネオクラシックコンプリートを、自分の手持ちのCBで作る」という提案です。
提案されている主要カスタムパーツ群
紹介されているパーツは、主に「ブレーキ・コントロール系」「足回り・フレーム系」「外装・その他」の3分野に分けられます。
1. ブレーキ・コントロール系 (ハンドリングのレベルアップ)

- エラボレート VRDブレーキマスター: 独自開発の可変レシオレバーを搭載し、ブレーキタッチを細かく調整可能にする革新的なマスターシリンダー。
- ビレット フロント 4Pラジアルキャリパー / ビレット リア アキシャル2Pキャリパー: 2D切削のシンプルなフォルムで、高い制動力とコントロール性を追求したカスタムキャリパー。
- クロスロックディスクローター: 鍛造技術を結集した「バランス」を重視した究極のスポーツディスク。
- ワイヤークラッチホルダーキット (Dark Edition): 鍛造の造形を生かしたシックなマットブラック仕様のクラッチホルダー。
2. 足回り・フレーム系


- アルミ鍛造ホイール [TYPE-J]: 70~80年代のキャストホイールデザインを最新技術で再現した、高剛性・軽量の鍛造ホイール。
- コンバーチブルステムキット [セパハン仕様]: 剛性と車体バランスを追求し、可変オフセット機構を持つセパレートハンドル用のステムキット。
- ストリートボックス (フロントスプリング+リアショック): ハイパープロ製で、車種ごとに理想の車体姿勢となるよう設定された前後サスペンションキット(現在開発中)。
- パフォーマンスダンパー®: 車体振動を抑え、乗り心地とハンドリングを向上させる車種専用の車体制振ダンパー(現在開発中)。
3. 外装・その他

- ラジエターコアガード: トラディショナルネイキッドに似合う機能美を備えたステンレス製のガード。
- バックステップ: 2D加工によるシンプルで飽きのこないデザインのアルミ削り出しステップキット。
- フェンダーレスキット: 加工不要で純正ウインカーも使用可能なスタイリッシュなリアビューを実現するキット。
まとめ:街乗りで輝く「大人のF」
このプロジェクトが目指しているのは、サーキットのラップタイム短縮ではなく、「ストリートでの快適さと、所有する喜び」です。
- GALE SPEEDによるハンドリングの軽快化
- Hyperpro(開発中)による乗り心地の最適化
- そして、往年の「F」を彷彿とさせるシルエット
これらを組み合わせることで、Z900RSに対抗しうる、ホンダファン待望の「現代版CB-Fカスタム」が完成します。
「古いけど新しい」。そんな矛盾した魅力を実現する今回のパーツ群は、これからの旧車・絶版車カスタムの新しいスタンダードになる予感がします。

