【再評価】なぜ今「ヤマハ BOLT」が欲しがられるのか?国産最後、空冷Vツインの衝撃

2010年代、空冷大排気量のアメリカンが絶滅の危機に瀕していた時代。

ヤマハが放ったのは、これまでの「デカい・派手・重い」というアメリカンの常識を真っ向から否定する、異形のモデルでした。

その名は「BOLT(ボルト)」。

2023年に惜しまれつつ生産終了となりましたが、今になって「あのコンセプトは正解だった」と喉から手が出るほど欲しがられている、スポーツクルーザーの先駆けを徹底解剖します。

バイク選びの「悩み」vs BOLTによる「解決」

「アメリカンは好きだけど、今の時代には合わない気がする……」そんなライダーの葛藤を、BOLTは見事に解決してくれました。

ライダーの悩み・不満BOLTによる解決得られるメリット
アメリカンはデカすぎて、街中やUターンが苦行無駄を削ぎ落としたスリムな車体(ボバースタイル)都市部の渋滞や狭い道でも、ネイキッド感覚で扱える。
ド派手なメッキは手入れが大変だし、気恥ずかしい黒基調の「生」の金属感を強調したデザイン現代のファッションに馴染む、シックでクールな佇まい。
水冷化で鼓動感が消えるのは寂しい最後の国産「空冷Vツイン(941cc)」を死守信号待ちでの微振動や、加速時の独特な鼓動感を味わえる。
峠道も少しは楽しみたいが、アメリカンは曲がらないスポーツ走行も意識したハンドリング設計「スポーツクルーザー」の名に恥じない、軽快な旋回性。

BOLTが「現代クルーザーの始祖」と言われる3つの理由

1. 思想強めな時代の「異形」から「正解」へ

2013年の登場時、世の中にはまだ「アメリカン=空冷Vツイン以外は認めん」「デカさが正義」という強い思想がありました。

そんな中、ヤマハが出したのは「都市部でも軽快に走れるアメリカン」。当時は「細すぎる」「もどき」と揶揄されることもありましたが、後にハーレーが発表した市街地コンセプト「ストリート750」などのトレンドを先取りしていたのです。

2. 最後の「国産空冷Vツイン」という希少性

排ガス規制の波に飲まれ、2023年にしれっと姿を消したBOLT。しかし、その心臓部は941ccの空冷Vツインエンジンです。

水冷化が進む現代において、エンジンの熱気、音、振動をダイレクトに感じられるこのエンジンは、今や「二度と手に入らない宝物」として中古市場で熱烈な視線を浴びています。

3. 「スポーツクルーザー」の扉を開いた

アメリカンらしい「低重心」と「足つきの良さ」を持ちながら、エンジンの搭載位置やフレーム剛性を工夫し、ネイキッドに近い軽快なハンドリングを実現しました。

これは、現在の人気車種である「レブル」や「エリミネーター」へと続く、「スポーツ×クルーザー」という新ジャンルの夜明けでした。

まとめ:時代を早すぎた「完成形」

BOLTは、単なるアメリカンではありません。

「伝統(空冷Vツイン)を守りながら、未来(スポーツ走行)を見据えた、ヤマハ渾身のハイブリッド」です。

  • 派手さよりも、質感を愛したい
  • 峠も街乗りも、これ1台でこなしたい
  • 「最後の空冷」の鼓動を身体に刻みたい

そんな願いを持つライダーにとって、BOLTは今なお色褪せない、最強の選択肢と言えるでしょう。

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