
「これ、本当に市販車なの?」
誰もが二度見する、フロントマッシブなステルス戦闘機のようなフォルム。NM4は、ホンダが「近未来」を具現化したフルカウルクルーザーでした。
NM4の「異形」な魅力と直面した現実
| NM4のここがスゴい! | 実際のユーザーの反応 | その後の運命 |
| 「アキラ」の世界観を体現 | 「金田のバイクだ!」と大興奮 | 劇用車として仮面ライダー等に採用 |
| DCT搭載のNC750エンジン | オートマで楽ちん、燃費も最強 | 「鼓動感がない」とベテランに一蹴される |
| 可変式バックレスト(背もたれ) | タンデムシートが背もたれに!快適! | 見た目が特異すぎて好みが分かれる |
| 25色に変えられるメーター | 気分で色を変えて「コクピット」を満喫 | ガジェット好きには刺さるが一般層は… |
1. 映画やドラマが放っておかなかった「主役級」のデザイン

NM4の最大の特徴は、その「異形」さです。
- 仮面ライダードライブ: 劇中車「ライドチェイサー」のベースとして採用。
- 映画『大怪獣のあとしまつ』: 特殊部隊の車両として登場。
- アニメ・特撮ファン: 「ドラグーン(ニコニコ動画での愛称)」として、カルト的な信者を生み出しました。
ミラー一体型の巨大なフロントカウル、潜り込むような着座位置。まさに「次世代」を走っている感覚になれる唯一無二の存在でした。
2. 中身は「超実用的」な優等生
見た目は派手ですが、中身は非常に合理的でした。
ベースは、燃費の良さと実用性で知られるNC750シリーズ。
- DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション): クラッチ操作不要。加速はスムーズで、未来の乗り物感を演出。
- 低重心: 地面を這うような安定感。
しかし、この「優等生すぎる中身」と「過激な見た目」のギャップが、当時のクルーザー市場(Vツイン・空冷・懐古主義)には受け入れられませんでした。
3. 「レブル」の登場と、次世代クルーザーの終焉

NM4が短命に終わった最大の理由は、ホンダ自身が生み出した「レブル(Rebel)」の存在でした。
「次世代」を追求したNM4に対し、世間が求めていたのは「ネオレトロな懐古主義」でした。
- NM4: フルカウル、近未来、デジタル
- レブル: シンプル、ボバー、どこか懐かしい
結局、多くのライダーはシンプルでカスタムしやすいレブルに群がり、「フルカウルクルーザーなんてなかったんや……」と言わんばかりに、NM4はラインナップから姿を消すことになります。
結論:NM4は「早すぎた天才」だった
NM4は爆死したかもしれません。しかし、今これほどまでに「所有欲」と「非日常感」を満たしてくれるバイクは他にありません。
- 「人と同じバイク」には絶対乗りたくない
- SF映画の世界に入り込みたい
- DCTで優雅にクルージングしたい
そんな人にとって、中古市場に残るNM4は今でも「最後の次世代クルーザー」として輝き続けています。
時代のトレンドには勝てなかった。けれど、私たちの記憶に深く刻み込まれたNM4。この「異形」の系譜を継ぐマシンが再び現れるのを、私たちは密かに待っています。
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